
発災1ヶ月。今が「災害関連死」を防ぐ、 分岐点。
避難所の集約・自宅帰還・二次避難所への移動——
被災者が「見えなくなる」タイミングが、今まさに重なっています。
直接死の4倍。その犠牲の8割が、最初の3ヶ月に集中しています。
熊本地震(2016)の教訓から導き出した、今すぐできる「命を守る4つの行動」。
熊本地震 震災ミュージアムKIOKU
/「災害関連死ゼロ」プロジェクト
なぜ今、アクションが必要なのか?
熊本地震(2016)のデータが示す、避難生活のリスク
関連死は直接死の圧倒的多数
家屋倒壊などの直接死(50人)よりも、避難生活の負担で亡くなる関連死(225人)が圧倒的に多い事実があります。
発災3ヶ月以内に犠牲が集中
慣れない環境でのストレスがピークに達する1〜3ヶ月目が「命の分水嶺」です。この時期が、行動を起こすべき最も危険なタイミングです。
死因の約6割が呼吸器・循環器疾患
肺炎、心不全、エコノミークラス症候群など、避難環境の悪化とトイレ等の「我慢」が引き起こす病気が、直接的に命を奪います。
犠牲者の約8割は70歳以上の高齢者
体力・免疫力が低下しやすい高齢者は、環境悪化のダメージを直に受けます。積極的な声かけ、ベッドの確保、保温が命を左右します。
亡くなった方の約9割に持病あり
高血圧や糖尿病などの既往症がある方は、薬切れや環境ストレスで急激にコントロールを失います。「自分は大丈夫」は通用しません。
関連死全体の 約9%
自死(心の限界)による犠牲
避難生活のストレスによる自死に加え、自宅帰還後の孤独死も深刻な課題です。周囲の「声かけ」と「つながり」が、命を守る最後の防波堤です。
※ 直接死50人・関連死225人:熊本県「熊本地震から10年」特設ページ(令和7年4月11日速報値)
※ 割合・死因・年齢等の内訳:熊本県「熊本地震における震災関連死の概況」(2017年公表)
あの日の後悔を、
繰り返さないために。
過去の災害関連死のリアルな声
「水断ち」が引き起こした熱中症
「避難所のトイレが汚くて、行く回数を減らそうと水を飲むのを我慢していました。夜中にガソリンが切れてエアコンが止まり、気づいたときにはもう動けなくなっていました…」

記録より —不衛生なトイレへの忌避が「水断ち」を招き、脱水→熱中症・血栓の致命的な連鎖を引き起こします。携帯トイレで「安心して排泄できる環境」を確保することが、水を飲める唯一の前提です。
出典:内閣府「災害関連死事例集」・報道記録より
むくみが知らせていた「時限爆弾」
「避難所から親族宅へ、また別の場所へと転々とするうちに、足がどんどんむくんできました。仮設住宅にやっと入れたと思ったら、エコノミークラス症候群と診断されて…」

記録より —仮設入居直後に診断を受け、発災から約3ヶ月後に呼吸不全で亡くなりました。長期避難での不活動は、数ヶ月後に命を奪う血栓を静かに形成し続けます。
出典:内閣府「災害関連死事例集」
避難所の肺炎が命を奪った
「断水が続いて歯を磨けず、口の中がずっと不快でした。避難所の生活が続くうちに咳が止まらなくなり、病院に運ばれましたが…」

記録より —誤嚥性肺炎を発症した被災者の約8割が、発災から1ヶ月以内に死亡しています。ティッシュで歯を拭くだけで口内細菌は劇的に減らせます。
出典:熊本県歯科医師会
1ヶ月の疲労が、突然心臓を止めた
「地震から1ヶ月、片付けに次ぐ片付けで疲れ果てていました。余震のたびに心臓がドキドキして、全然眠れない夜が続いて…」

記録より —過労・余震の恐怖・睡眠不足が交感神経を刺激し続け、血圧を急上昇させます。心不全や急性心筋梗塞による突然死は、発災1ヶ月前後にピークを迎えます。
出典:内閣府「災害関連死事例集」
これらの悲劇は、知識と準備があれば、救えた命でした。
だからこそ、次の「4つのアクション」が命を救います。
災害関連死・孤独死ゼロへの
「4つのアクション」
今日から始められる、命を守るシンプルな行動

「水断ち」が突然死を招く
トイレと水分・熱中症
トイレを我慢するための水断ちは絶対におやめください。水分不足は血液をドロドロにし、突然死を招くエコノミークラス症候群や重篤な熱中症の最大の原因となります。携帯トイレを活用し、意図的に水分を摂ってください。
- ✓携帯トイレを必ず確保・使用する
- ✓経口補水液や水をこまめに摂る
- ✓水を控える我慢は命に関わる

同じ姿勢が致死的な血栓を作る
足の運動
車中泊や狭い避難所での同じ姿勢は、足の静脈に致死的な血栓を作ります。事前の健康状態に関わらず、誰にでも突発的に起こり得ます。1〜2時間おきに立ち上がる、かかとを上げ下げするなど、足の運動を意識して行ってください。
- ✓1〜2時間おきに必ず立ち上がる
- ✓かかとの上げ下げを×20回繰り返す
- ✓足首をゆっくり大きく回す

キャップ1杯の水が命を救う
口腔ケア
断水時、歯磨き不足で繁殖した細菌が肺に入り込む誤嚥性(ごえんせい)肺炎が、高齢者の命を奪う大きな原因です。ペットボトルのキャップ1杯の水でのうがいや、ティッシュで歯を拭き取るだけでも細菌は劇的に減らせます。
- ✓キャップ1杯の水でうがいするだけでOK
- ✓ティッシュや綿棒で歯・歯茎を拭く
- ✓義歯は外して洗浄・乾燥させる

余震の恐怖と孤立が心臓を壊す
休息とつながり
終わらない余震の恐怖と睡眠不足は、血圧を急上昇させ心臓に致命的な負担をかけます。また、避難所から自宅へ戻った後の孤立は、誰にも気づかれない孤独死・関連死のリスクを急増させます。睡眠環境を整えると共に、周囲と意識的に話をして見守りの空白を埋めてください。
- ✓段ボールベッド等で睡眠環境を整える
- ✓ご近所や離れた家族と必ず「声掛け」をする
- ✓つらい時は一人で抱え込まず誰かに話す
孤独死を防ぐ、最大の防波堤。
まずは「声を掛ける」こと。
避難所から自宅や仮設住宅へと生活拠点が移るとき、
被災者同士の「孤立」が急激に進みます。
発災後こそ、あなたの声掛けが誰かの命を救います。
自宅に戻った方へ
避難所を離れ自宅へ戻った方は、支援の目が届きにくくなります。近所への一声が「見守りの空白」を埋め、孤立を防ぐ最初の一歩となります。
💬 インターホン越しや、短い立ち話でも構いません
高齢者・独居の方へ
犠牲者の78%が70歳以上。高齢者は自宅へ戻った後も体調が急変しやすく、自ら助けを求めることが難しい場合があります。積極的な声掛けを。
💬 「元気ですか?」の一言が命をつなぎます
連絡が途絶えた知人・親族へ
発災直後に連絡が取れなかった方を思い出したら、落ち着いた「今」こそ改めてメッセージを。「気にかけている」という事実が孤立を防ぎます。
💬 返信がなくても、送ること自体に意味があります
ポスターを保存・共有する
スマホに保存してSNS等で広めましょう。
💡 ダウンロードできない場合は、画像を長押し(スマホ)または右クリック(PC)→「保存」してください。
※ポスターの郵送・配布は行っておりません。上記よりダウンロードしてご自由にご利用ください。

あの日の後悔を、
繰り返さないために。
2016年の熊本地震。私たちは、地震そのものを生き延びたにも関わらず、避難生活の過酷さによって命を落とす「災害関連死」の恐ろしさを目の当たりにしました。
あの時、もっと知識があれば。避難所から自宅へ戻った方へ、もっと声を掛けていれば。
その強い後悔が、熊本地震 震災ミュージアムKIOKUの原点です。避難所から自宅や仮設住宅へと生活拠点が移るこの時期が、最も声掛けが必要なタイミングです。
この「4つのアクション」は、私たちが失った多くの命から得た教訓です。どうか、あなた自身と、あなたの大切な人の命を守るために役立ててください。
熊本地震 震災ミュージアム KIOKU
スタッフ一同
