令和8年熊本地震 · 発災から1ヶ月

発災1ヶ月。今が「災害関連死」を防ぐ、分岐点。

避難所の集約・自宅帰還・二次避難所への移動——
被災者が「見えなくなる」タイミングが、今まさに重なっています。

直接死の4倍。その犠牲の8割が、最初の3ヶ月に集中しています。熊本地震(2016)の教訓から導き出した、今すぐできる「命を守る4つの行動」。

熊本地震 震災ミュージアムKIOKU
/「災害関連死ゼロ」プロジェクト

データで知る

なぜ今、アクションが必要なのか?

熊本地震(2016)のデータが示す、避難生活のリスク

4.5倍
直接死
50人
関連死
225人

関連死は直接死の圧倒的多数

家屋倒壊などの直接死(50人)よりも、避難生活の負担で亡くなる関連死(225人)が圧倒的に多い事実があります。

81%
1週以内
14%
1ヶ月以内
44%
3ヶ月以内
81%

発災3ヶ月以内に犠牲が集中

慣れない環境でのストレスがピークに達する1〜3ヶ月目が「命の分水嶺」です。この時期が、行動を起こすべき最も危険なタイミングです。

56%
呼吸器系
29%
循環器系
28%
その他
43%

死因の約6割が呼吸器・循環器疾患

肺炎、心不全、エコノミークラス症候群など、避難環境の悪化とトイレ等の「我慢」が引き起こす病気が、直接的に命を奪います。

78%

犠牲者の約8割は70歳以上の高齢者

体力・免疫力が低下しやすい高齢者は、環境悪化のダメージを直に受けます。積極的な声かけ、ベッドの確保、保温が命を左右します。

87%

亡くなった方の約9割に持病あり

高血圧や糖尿病などの既往症がある方は、薬切れや環境ストレスで急激にコントロールを失います。「自分は大丈夫」は通用しません。

19人(関連死 225人のうち)
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関連死全体の 約9%

自死(心の限界)による犠牲

避難生活のストレスによる自死に加え、自宅帰還後の孤独死も深刻な課題です。周囲の「声かけ」と「つながり」が、命を守る最後の防波堤です。

※ 直接死50人・関連死225人:熊本県「熊本地震から10年」特設ページ(令和7年4月11日速報値)

※ 割合・死因・年齢等の内訳:熊本県「熊本地震における震災関連死の概況」(2017年公表)

2016年の被災者からの教訓

あの日の後悔を、
繰り返さないために。

過去の災害関連死のリアルな声

Action 0170代女性

「水断ち」が引き起こした熱中症

「避難所のトイレが汚くて、行く回数を減らそうと水を飲むのを我慢していました。夜中にガソリンが切れてエアコンが止まり、気づいたときにはもう動けなくなっていました…」

記録より —不衛生なトイレへの忌避が「水断ち」を招き、脱水→熱中症・血栓の致命的な連鎖を引き起こします。携帯トイレで「安心して排泄できる環境」を確保することが、水を飲める唯一の前提です。

出典:内閣府「災害関連死事例集」・報道記録より

Action 0280代男性

むくみが知らせていた「時限爆弾」

「避難所から親族宅へ、また別の場所へと転々とするうちに、足がどんどんむくんできました。仮設住宅にやっと入れたと思ったら、エコノミークラス症候群と診断されて…」

記録より —仮設入居直後に診断を受け、発災から約3ヶ月後に呼吸不全で亡くなりました。長期避難での不活動は、数ヶ月後に命を奪う血栓を静かに形成し続けます。

出典:内閣府「災害関連死事例集」

Action 0383歳女性

避難所の肺炎が命を奪った

「断水が続いて歯を磨けず、口の中がずっと不快でした。避難所の生活が続くうちに咳が止まらなくなり、病院に運ばれましたが…」

記録より —誤嚥性肺炎を発症した被災者の約8割が、発災から1ヶ月以内に死亡しています。ティッシュで歯を拭くだけで口内細菌は劇的に減らせます。

出典:熊本県歯科医師会

Action 0478歳男性 ほか

1ヶ月の疲労が、突然心臓を止めた

「地震から1ヶ月、片付けに次ぐ片付けで疲れ果てていました。余震のたびに心臓がドキドキして、全然眠れない夜が続いて…」

記録より —過労・余震の恐怖・睡眠不足が交感神経を刺激し続け、血圧を急上昇させます。心不全や急性心筋梗塞による突然死は、発災1ヶ月前後にピークを迎えます。

出典:内閣府「災害関連死事例集」

これらの悲劇は、知識と準備があれば、救えた命でした。

だからこそ、次の「4つのアクション」が命を救います。

今すぐできること

災害関連死・孤独死ゼロへの
「4つのアクション」

今日から始められる、命を守るシンプルな行動

01

「水断ち」が突然死を招く

トイレと水分・熱中症

トイレを我慢するための水断ちは絶対におやめください。水分不足は血液をドロドロにし、突然死を招くエコノミークラス症候群や重篤な熱中症の最大の原因となります。携帯トイレを活用し、意図的に水分を摂ってください。

  • ✓携帯トイレを必ず確保・使用する
  • ✓経口補水液や水をこまめに摂る
  • ✓水を控える我慢は命に関わる
02

同じ姿勢が致死的な血栓を作る

足の運動

車中泊や狭い避難所での同じ姿勢は、足の静脈に致死的な血栓を作ります。事前の健康状態に関わらず、誰にでも突発的に起こり得ます。1〜2時間おきに立ち上がる、かかとを上げ下げするなど、足の運動を意識して行ってください。

  • ✓1〜2時間おきに必ず立ち上がる
  • ✓かかとの上げ下げを×20回繰り返す
  • ✓足首をゆっくり大きく回す
03

キャップ1杯の水が命を救う

口腔ケア

断水時、歯磨き不足で繁殖した細菌が肺に入り込む誤嚥性(ごえんせい)肺炎が、高齢者の命を奪う大きな原因です。ペットボトルのキャップ1杯の水でのうがいや、ティッシュで歯を拭き取るだけでも細菌は劇的に減らせます。

  • ✓キャップ1杯の水でうがいするだけでOK
  • ✓ティッシュや綿棒で歯・歯茎を拭く
  • ✓義歯は外して洗浄・乾燥させる
04

余震の恐怖と孤立が心臓を壊す

休息とつながり

終わらない余震の恐怖と睡眠不足は、血圧を急上昇させ心臓に致命的な負担をかけます。また、避難所から自宅へ戻った後の孤立は、誰にも気づかれない孤独死・関連死のリスクを急増させます。睡眠環境を整えると共に、周囲と意識的に話をして見守りの空白を埋めてください。

  • ✓段ボールベッド等で睡眠環境を整える
  • ✓ご近所や離れた家族と必ず「声掛け」をする
  • ✓つらい時は一人で抱え込まず誰かに話す
周りにいる人ができること

孤独死を防ぐ、最大の防波堤。まずは「声を掛ける」こと。

避難所から自宅や仮設住宅へと生活拠点が移るとき、被災者同士の「孤立」が急激に進みます。
発災後こそ、あなたの声掛けが誰かの命を救います。

🏠

自宅に戻った方へ

避難所を離れ自宅へ戻った方は、支援の目が届きにくくなります。近所への一声が「見守りの空白」を埋め、孤立を防ぐ最初の一歩となります。

💬 インターホン越しや、短い立ち話でも構いません

🧓

高齢者・独居の方へ

犠牲者の78%が70歳以上。高齢者は自宅へ戻った後も体調が急変しやすく、自ら助けを求めることが難しい場合があります。積極的な声掛けを。

💬 「元気ですか?」の一言が命をつなぎます

👥

連絡が途絶えた知人・親族へ

発災直後に連絡が取れなかった方を思い出したら、落ち着いた「今」こそ改めてメッセージを。「気にかけている」という事実が孤立を防ぎます。

💬 返信がなくても、送ること自体に意味があります

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災害関連死を防ぐ。今日からできる、4つのアクション ポスター

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※ポスターの郵送・配布は行っておりません。上記よりダウンロードしてご自由にご利用ください。

熊本地震 震災ミュージアムKIOKU
KIOKUからのメッセージ

あの日の後悔を、
繰り返さないために。

2016年の熊本地震。私たちは、地震そのものを生き延びたにも関わらず、避難生活の過酷さによって命を落とす「災害関連死」の恐ろしさを目の当たりにしました。

あの時、もっと知識があれば。避難所から自宅へ戻った方へ、もっと声を掛けていれば。

その強い後悔が、熊本地震 震災ミュージアムKIOKUの原点です。避難所から自宅や仮設住宅へと生活拠点が移るこの時期が、最も声掛けが必要なタイミングです。

この「4つのアクション」は、私たちが失った多くの命から得た教訓です。どうか、あなた自身と、あなたの大切な人の命を守るために役立ててください。

熊本地震 震災ミュージアム KIOKU
スタッフ一同